名古屋から友人YGが突如来襲。

神戸にある横尾忠則現代美術館へ行きたいとのことで、一緒に行ってきた。

 

先日、仕事場の友人と話しているとき、ド忘れして「横尾忠則」の名前が出てこない。

「明日は美術館へ行くんですよ」

「どこ?」

「神戸にある、あれ、あの人の美術館……」

「誰?」

「ほら、あの有名な、兵庫県出身でまだ生きている……。グラフィックやポスターをたくさん描いてる。旭日旗とかコラージュとか。三島由紀夫や三輪明宏寺山修二……」

始まるヒントdeピント展開。結局、自分で思い出して「横尾忠則!!」と言ったら「知らん」だって。

そういえば美術館のロビーで大きな声で電話しているオッサンも、でかい声で「ヨコオ タダオ美術館におるで。」と話してた。意外に知名度ないのか……?

かくいう自分もよく知っているわけじゃなくて、グラフィックデザイナーと認識している程度。正直、あまり好きな作家じゃない。でも、”何でも誘われたら行く”という基本姿勢なので、神戸の灘まで行ってきた。自分から進んでやらないことほど、新しいものを見つけるチャンスなんだと思う。

 

果たして、この展示会で持っていた横尾のイメージが大きく変わることになった。

今回の展覧会は彼の作品の中でも、「Y字路」をモチーフとした作品を集めた展示らしい。(この「Y字路」というシリーズがあることも知らなかった。勉強不足ですいません。)

今までの自分が持っていたイメージは、『ビビッドな色使いでコラージュやオマージュを多く使う、複雑でポップな商業的な作品というものだった。だからデザイナーっぽい印象なんだろう。

ところが今回の展示はシンプルなペインティングが多いくて、新鮮。モチーフも「Y字路」という現実的なものを使って、風景画のように仕上げている。言い方が正しいかわからないが、ファインアート的な感じが強く、それが自分には好ましかった。

 

同じモチーフを繰り返し使うことによって、色々な実験をしているのも興味深い。

横尾博士のYGに言わせると、横尾は”思ったことはやる”という主義だそうだ。なるほど、思いつきというかインスピレーションをなるべく濁らせないで描いている気がする。

例えば、描いた作品の上から、細かい格子のような模様を全面に描き足してしまった作品がある。ライブペインティングでの制作風景も会場には流れていて、それを見ると写真を横において即興で描いていたから、細かい格子は最後になんかアイデアが湧いて書き足したようにも思える。こういった、最後のプッシュは躊躇ないよな、と惚れ惚れ。

さらにYGによると、コラージュへの姿勢もトレーニング的に行っているらしい。なるほど。感覚をそのまま作品にするからスピード感もすごいのか。

作品って、作品だけ見てもいいものだけど、作家と作品の関係を考えると更におもしろい。そしてさらに、それらを自分なりに解釈していくのが何より楽しい。楽しさ×楽しさ×楽しさの倍・プッシュ。

見ていると、一枚一枚にコメントをしたくなる。心の中で作品と対話しているのだろうか、受け取ったものに何かリアクションをしたい気持ちにさせられる。そこには人の力を受けて、気持ちが動く心地良さがある。絵を見ていて、雑念が消えてクリアーになる時間が好きだ。

行って良かったです。

 

ついつい、横尾の本も買ってしまいました。

エッセイの文庫。

そこは画集じゃないのかよ!というツッコミはなしの方向で。