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映画『バクマン。』を観てきた。

映画『バクマン。』を観てきた。

(ネタバレあり)

自分はいい歳なんだけど、いまだにジャンプは発売日に買って読んでいる。最近では『斉木楠雄のΨ難』が実写化と聞いて、「!」とガッツポーズをとった程度にジャンプが好きだし、生家で売っていた関係もあって子供の頃からずっと読んできた。たぶん初めて買った単行本は、今では保守のAKBおじさんとなった小林よしのりの『東大一直線』だった気がする。

『バクマン。』原作はリアルタイムにジャンプで読んでいたんだけど、普通に流して読んでた感じで、特に感情移入することもなかった。たぶん、主人公と同じ高校生ぐらいの人向けの漫画と感じたからかもしれない。ただ、編集部と漫画家のやり取りが、こんな風にジャンプを作ってるんだと思ったりして、新鮮で楽しかった。一方で少年たちが成り上がっていくことや、漫画への考え方には割りと醒めて見ていたような気がする。

でも、友人から勧められたのと、映画の出来がいいという噂は聞いていたので観に行ってみた。

 

果たしてどうだったか。開始早々、シュージンがサイコーに向かって「漫画家になろう!」って誘ったときについついジーンとしてしまって、ちょっと涙目。どストレートなシュージンに高校生のときを思い出したのだろうか。いや、恥ずかしながら、たぶん今現在の自分を重ねちゃったのかもしれない。あまり高校生のときから変わっていない部分を突かれたのだろう。

話は漫画とは別物で、無駄なところが一切なく完結している。だから原作が好きな人は違和感があるかもしれない。でも自分は、逆に映画の方にグッときてしまった。原作の漫画は若い読者へ向けてのものだったけど、この映画はずっとジャンプを見てきた、そして多くの一度は漫画を描いてみたいと思った大人への、素晴らしいプレゼントなんじゃないか。

オープニング、歴代ジャンプの表紙を使ったPVのようなモーショングラフィックが流れ、歴史の説明がされる。これの出来が素晴らしくいい。同時に歴代ジャンプの表紙や流れては消える作品を鮮明に覚えている自分に驚く。やはりジャンプが、漫画が好きなんだと痛感してしまうし、これだけで本当にワクワクした。

メインとなるサイコーとシュージンがガリガリと漫画を描いていくシーンも、グッとくる。徹夜とか血尿やら、今風に言うとメチャクチャブラックなんだけど、情熱だけで前に進む姿は、本当に熱い。見ているこちらもウズウズしてくる。絵を描くとか、デザインするとか、映画を作るとか、モノをつくるとか、クリエイティビティが溢れてくる瞬間の源泉って、小難しい部分じゃなく、なりふり構わず前へ向かう一途さなのかもしれない。Gペンでガリガリとか、タバコ吸ってタオル鉢巻とか、ちょっと昭和を意識しすぎるキライはあるけど。

途中、福田組の宴会シーンもすごい良くて印象的。好きなことを語るのってこの上ないくらい楽しいじゃない。こうしたいとか、こうなりたいとか、あれがいいとか、あいつはすごいとか。ありていな言い方をすれば、夢を語る時は楽しいもので。宴会の途中、夜風に当たってるシュージンが「仲間ができた気がする」みたいなことを言うけど、わかりすぎるくらいわかる。

もしかしたら映画の中で描かれる若い人たちの漫画に向かう姿勢に心動くだけじゃなく、その裏にあるであろう、今もそうやって映画を作っている監督やスタッフの気持ちが胸にくるのかも。いや、むしろ作り手たちの理想郷というか、こうあるべきだって姿が投影されたのが劇中の人物なのかもしれない。そりゃ胸に響くよね。

 

ジャンプを市井の様々な人たちが読んでいるのが流れるシーンもジーンとくる。人と自分の仕事を通して繋がれるのは素晴らしいことだ。それは漫画に限らず、デザインや映像、イラスト、自分の知らないところで人様に見てもらえてたら、こんなに嬉しいことはない。ジャンプほど大きな話ではないが、自分ももっとがんばりたいと思わされる。

 

細かいところだけど、ところどころに出てくる漫画へのオマージュもたまらない。例えば、エイジに一度は勝つんだけど、燃え尽きて落ちていくのは、まさしくスラムダンクの山王戦だよね。

その集大成がエンドロール。すごい凝ってて楽しかった。これからして、今の子供向けじゃないよね。ジャンプを読んできた者たちへのプレゼントなんだと思うよ、本当に。次回作をお楽しみに!という終わりも、二重丸。漫画版よりも好きだ。

 

最後に映像的に感心したところを少し。

漫画を描いているだけでは退屈な画になりがちだけど、プロジェクションマッピングを使ったりVFXを駆使して躍動感が途切れることがない、すばらしい演出。これは映画全体にいえることだけど、若者の躍動感がずっと止まらない。それはエイジとの漫画バトルのシーンも同様。本当に楽しいし、盛り上がる。新しい技術や映像表現をポップに、そして熱く使っているのは、実写映画では初めて観たかもしれない。さすがWOWだと素直に感心してしまった。撮影も、人をPVっぽくアップを多用してきれいに撮るなとため息が出てしまう。微妙な白や画面の揺らし、逆光が心地よい。

全体的な印象は映画っぽくないように思えた。すごいテンポのいいテレビドラマって感じで、ジェットコースターに乗って盛り上がっていくような躍動感。ただ、それはこの作品の魅力を下げることでは決してなく、逆にのめり込ませるパワーとなっている。だから、シラけることなく最後まで楽しめる、とても熱いエンターテイメントだ。

 

まとめると、旬の俳優を使ったり、斬新な映像に目がいきがちだけど、その実、とてもピュアな漫画愛に溢れるいい作品でした。すごい元気をもらえた気がする。

 

でも、一番驚いたのは、佐藤健が違和感なく普通に17歳の高校生を演じていたところかもしれない……(笑)。すげー。

 

 

 

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